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​グノーシス

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主体が束縛を意識し、

高遠な自己の源を認識する知の形式である。

その淵源は、

紀元前五世紀頃に東地中海で流行した、

密儀宗教(オルペウス教、ミトラス教、キュベレ教、

イシス教など)にあると思われ、

特にヘレニズム期の、

シンクレティズム(諸教混淆主義)によって拡大した。

 

ヘレニズム期に於けるグノーシスには諸派があり、

バルベロ派やヴァレンティヌス派が知られる。

 

グノーシスの思想は、

特殊な宇宙論と創世神話に基づいており、

 

認識即ちグノーシスそのものが人間の存在を高めて、

本来の高貴な霊、

或いは、

物質的な頽落に陥る以前の、

充足した状態に近付くものとされた。

古代ヘレニズム期以降のグノーシスは、

キリスト教の台頭によって抑圧され、

グノーシス主義もしくは

グノーシス派と呼ばれて矮小化される。

 

グノーシスには普遍的価値があるにも関わらず、

物質的な領域に対する一種の蔑視が、

造物主を否定する思想だと見做されたが故である。

 

教会がグノーシスを敵視する発言は、

21世紀に於いても変わらず散見される。

 

東洋に於いては、

禅の思想の一部にグノーシス的態度が見られる。

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